episode 2 -Rafforzamento fisico-

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「この角度から撮るのって難しくないか?」 そう指摘した写真の宮島さんは確かに不可解な角度から撮られていた。その写真は真正面から宮島さんを撮っていた。後ろ姿や横顔なら盗撮写真としてまだ分かるが、真正面で撮られたら宮島さんに気付かれるはずだ。だが、宮島さんはこの写真に見覚えがないという。 「せめて場所が分かれば現場に行って手掛かりとか探すことが出来るんだけどなぁ」 少し手詰まりの状態に燐夜がボヤく。 「……ここに微かに写っている自販機って何か手掛かりになりそうじゃないか?」 紅葉が指摘する。確かに微かに自販機が写っている。だが、色が識別出来るくらいでどこのメーカーまでかは分からない。 「白の自販機…場所は外……」 吹雪がブツブツと推理をし始めた。 「ここの瞳に写っているのはなんじゃ?」 富士がまた何かを指摘した。 「瞳……?うーんなんだろ…」 確かに瞳には何か写っていた。しかし、写真の目が粗く、何かまでは分からなかった。 「そのアングル…偶然撮られたっというよりかは、何かを覗き込んでるように見えないか?」 紅葉が問いかける。 「確かに言われてみればそんな風にも見えなくもないが……」 「まだ学校にも慣れてない新入生が立ち止まって覗き込むもの…。その近くには白の自販機…。これで大分絞り込めるんじゃないか?」 なかなかの名推理を見せる紅葉。しかし、肝心のどこかまでは分からないようだ。 「手当り次第自販機の所を調査するっていうのもいいけどな」 頭を使うのが苦手な燐夜は、身体を使って数打ちゃ当たる作戦でいこうとしていた。しかし、なるべく動きたくない頭脳派の紅葉が渋る。 まぁ燐夜の言ってることも分からなくはないが、広大な学校の敷地だ。どれくらい自販機があるのかも想像がつかない。下校時間までそんなにないし、あまり得策ではないだろう。 「あそこの自販機じゃないかな?僕たちがいっつも飲み物を買う、購買近くの…」 吹雪がポンと手を叩き発言した。吹雪が言う自販機とは、自分たちが部活終わりにいつも飲み物を買う、購買近くの自販機のことである。確かにあそこの自販機は白い。 「とりあえずここにいてもしょうがないし、行ってみますか?」 「そうするにゃ!」 どこから取り出したか分からないが、名探偵と言えばあの帽子だろうという帽子を被り、我先にと出発するナツ。 「何か分かると良いですわね」 ポンと宮島さんの肩を叩くハル。 余程悩まされていたのだろう。宮島の顔は不安でいっぱいだったが、ハルの一言に少し安堵した表情を浮かべた。
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