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朝学校に来ると、私の机の上に真っ赤なフレームの眼鏡が置いてあった。
学生カバンと手提げバッグを机の横のフックに下げ、後ろの席の有栖<ありす>くんが顔を机に突っ伏していたので、そっと椅子を引いて座った。
誰の眼鏡だろう、と思いつつもそれを掛けてみた。
度は入っていない。
私の顔に妙にしっくりくる。
フックに掛けた手提げバッグの中からポーチを出して、さらにその中から手鏡を取り出した。
視力2,0の私は眼鏡なんて掛けたことないんだけど、なかなか似合ってるんじゃない?
正面から見たり斜めから見たりしていると、後ろの席の有栖くんがいつの間に体を起こしたのか鏡越しにこちらをじっと見ているのに気が付いた。
恥ずかしくて慌てて手鏡を下ろし、ポーチに片付けた。
有栖くんは茶髪で長い前髪を垂らし、その間から見えるのは一重のつり目でクールな感じの男子。
ちょっと口も悪いしいつも睨んでいるようなその目が私は怖くて、前席からプリント類が回ってくる時ぐらいしか後ろを振り向けない。
さっき鏡越しにちらっと見えただけだけど、今日は銀縁眼鏡を掛けている。
眼鏡なんていつも掛けていたっけ?
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