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ループ4の弐
「でぇ、具体的にどんなゲームするんだよ」
「キンの作ったクッキーとコトリアソビのクッキー、二つのクッキーをさとしに試食してもらう。サトシ、味を褒める。一番上手に褒められたほう、サトシが
食べる事、許される」
「それって、『美味しい』とか、『ウマい』っていうシンプルに褒めちゃダメ?」
小鳥遊の質問に、睨んでからコクっと頷くキン。なんかどこぞの有名大晦日番組でやってるミニゲームとルール限りなく酷似してないか、コレ・・・・・
「・・・・・! オイ、ちょっと待てキン」
オレはあることに気づいた。
「そのルールなら、お前んトコにもクッキーがなきゃ成立しなくないか?」
まさか今から作るなんて言い出さないよ・・・・・・
「既に用意済み」
しれっと言ったキンの右手には、小鳥遊と同じようにラッピングされたクッキーが握られていた。オイオイどっから出したんだよそれ!
というかいつ作ったんだよそれぇ!
「それじゃあ、スタート」
説明なしか! とオレが心の中でキンにツッコミを入れるが彼女は当然無視して、二つの袋からチョコを一つずつ取り出すと、オレに差し出してきた。
「サトシ、食え」
死んだ魚みたいな瞳でオレを見据えて言うキン。
言い方と顔がいちいち腹立つなコイツ・・・・・・・・
(それでも、致し方あるまい・・・・・)
オレは自制心をフル活用させて自分を落ち着かせると、小麦色に
焼きあがったクッキー―小鳥遊の方―を指で摘まんで、口に入れ、ゆっくり噛み始めた。程よく唾液と混ざって口の中で柔らかくなるクッキーの欠片。
それと同時に拡がる甘みと、微かな苦み。手作り感の溢れる、優しい甘みと苦み。
「なんだ、ただの上出来なクッキーじゃん」
オレがそう呟くと、小鳥遊の顔が赤くなって身体を縮こませるのが見えた。
そしてそれを、ジトぉ~~っと横目で見つめるキンの姿も。
「キンも速く食べて」
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