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キンは右手の掌を腰に隠してジャンケンをした。
「いまキン、なに出してる?」
とキンが尋ねるので、
「チョキ」
と当てずっぽにオレは答えた。
別に時間は『今日』はまだ沢山残されているし。
「・・・・・・・」
キンは無言―まさか・・・・・
「オレ、正解してる?」
その問いにも、やはりキンは何も答えない。
「キン、オレ当たってるだろ」
見るとキンの頬はますます紅潮しており、死んだ目のまま
彼女はぷいと、オレから視線を逸らした。
「やっぱり当たってるだろ?」
「・・・・・・サトシ、空気読め」
負け惜しむかの如く呟くキン。
「なにそれ! 正解したオレが悪いのかよ!?」
「ココは二回戦、三回戦して盛り上がるトコ、初戦で当てるの禁止」
「そんなルールハナからないだろ! とにかく勝ったから時間は・・・・」
「サトシ勝負に勝った、けど、その他全部負けた」
「なにその哲学的な言葉!」
「ついでに顔も負けた」
「顔カンケーねぇだろ!!!!」
などとオレらが言い争っているうちに、あっという間に三十分が過ぎていった。
オレは時計を見るなり・・・・・大絶叫を上げた。
近所中に響き渡るオレの悲鳴。しかしオレは、別に時間が“ただ”経過したことに嘆いているのではない。ただまた―同じ時間をループせねばならないから・・・・・
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