ループ1

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キンは右手の掌を腰に隠してジャンケンをした。 「いまキン、なに出してる?」 とキンが尋ねるので、 「チョキ」 と当てずっぽにオレは答えた。 別に時間は『今日』はまだ沢山残されているし。 「・・・・・・・」 キンは無言―まさか・・・・・ 「オレ、正解してる?」 その問いにも、やはりキンは何も答えない。 「キン、オレ当たってるだろ」 見るとキンの頬はますます紅潮しており、死んだ目のまま 彼女はぷいと、オレから視線を逸らした。 「やっぱり当たってるだろ?」 「・・・・・・サトシ、空気読め」 負け惜しむかの如く呟くキン。 「なにそれ! 正解したオレが悪いのかよ!?」 「ココは二回戦、三回戦して盛り上がるトコ、初戦で当てるの禁止」 「そんなルールハナからないだろ! とにかく勝ったから時間は・・・・」 「サトシ勝負に勝った、けど、その他全部負けた」 「なにその哲学的な言葉!」 「ついでに顔も負けた」 「顔カンケーねぇだろ!!!!」 などとオレらが言い争っているうちに、あっという間に三十分が過ぎていった。 オレは時計を見るなり・・・・・大絶叫を上げた。 近所中に響き渡るオレの悲鳴。しかしオレは、別に時間が“ただ”経過したことに嘆いているのではない。ただまた―同じ時間をループせねばならないから・・・・・
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