ループ2

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「なにすんの?」 「あみだくじ」 またワンパターンな・・・・・ するとキンは何処からか線の引かれた、やや下半分を折った紙と 鉛筆を二本取り出した。常備してんのかなぁ・・・・・ 「キン、ココする」 そう言ってキンは、左から三番目の線を指さした。 「ああ、じゃあオレはココ」 と、オレは左から五番目の線を指さした。 「それじゃあ、スタート」 キンの合図とともに、彼女は軽快に鼻歌を歌いながらオレとキンの選んだ線を 鉛筆で―両手で器用に辿っていく。オレはそれを目で追っていった。 「到着」 キンは鉛筆をベッドに置くと、両手で紙を掲げるようにして持ち上げると、 じゃん! っと折り曲げた箇所を広げた。 「・・・・・っ!!」 そしてオレは結果を目の当たりにして・・・・・・・絶句した。 キンの選んだ線の先には『勝ち?』と記されていた。 そしてオレの選んだ線の先―を含めたすべての線の先は『負けバーカ?』 と記されていた。 「なんじゃこりゃぁあああああ!!!」 これどー考えても先に選んだ人間且つこれ作った人が有利でしょ! 「キン、テメェ!!!!」 オレは怒り狂って勢いよく立ち上がってキンを戦装束の袖をぐいっと 引き上げて怒鳴った。 それに対しキンは、悪びれるどころか―鱗まみれの尻尾を垂らして頬を赤らめほぉ、と甘い吐息を吐いて、 「サトシ・・・・・ヤメロ・・・・・・」 とオレを見つめて呟いた。 「おまえゼッタイ喜んでるだろぉ!」 六回目の『今日』―今回もループから脱出ならず。
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