ループ3

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ループ3

「なぁキン、ゲームしよ」 珍しく『今日』は自分から積極的に誘ってみた。 キンは驚いて―死んだ魚のような目をめいいっぱい見開いて― こっちを見ている。まぁいつも『あそぼ』って無言で訴えるキンに オレが時間を進めるために嫌々彼女に声を掛けているから驚くのも 無理はないが。 「サトシ・・・・・そんなにキンと遊びたい?」 腰の尻尾をブンブン振ってキンが尋ねてくる。 「ああ」 オレは笑顔でそう応える。だが―これは嘘だ。全くの嘘偽り。 これはオレの作戦だ。敢えて自分から進んでキンと戯れることで コイツを油断させ、『別にわざわざ時間をループさせなくてもサトシは自分と 遊んでくれるのではないだろうか』と思わせることでこのループ地獄から 抜け出そうと言う―我ながらクレバー(?)な作戦だ。もちろんオレが解放 されれば、あとは適当な理由をつけてこのドラゴン娘を追い出せばよい。 オレ実は爬虫類アレルギーでした的な。 少し残酷ではあるが、こちらとしても平穏な日常を取り戻すため。 この場は涙をのんでコイツを騙すしかない。 「わかった、えぇ~っとぉ、えぇ~っとぉ・・・・・」 キンは頭を捻ってゲームの内容を考え出す。大抵コイツのゲームは理不尽って 言葉をそのまま3Dプリンターで具現化したような内容である、が、今回は オレが進んでゲームしたいと申し出た。恐らく内容も柔らかくなる・・・・・はず。しばらくすると、キンは掌に拳をぽんっと押して、 「ウソ発見器ゲーム」 と、高らかに言った。ほら、やっぱり柔らかく・・・・・・・なかった! 「う、ウソ発見器・・・・ゲーム??」 恐る恐る聞いてみると、 「相手の言ったことを、表情や仕草を手掛かりにウソかホントか当てるゲーム」 要はあれか、ウソ当てゲームのことか。オレはホッと胸を撫で下ろす。 良かった、対して難しくない。 「じゃあキンから・・・・・サトシ、キンと遊びたい」
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