25人が本棚に入れています
本棚に追加
ここで補足説明―実はさっきも言ったように、『今日』の進路は毎回少し変化
する。『俺とキン以外の人物が部屋にいる』これもその一つだ。
それ小鳥遊がここに訪れるのも、『今日』で初めてではなく、ある一定の周期
でやって来るのだ。大体―ループ四回に、一回程度。それにどういう理由かは
判らないが、キンが時間をループさせても、小鳥遊からキンに関する記憶は
無くならない。だから小鳥遊は、キンを知っている。以上補足お終い。
本編に戻ります(ホントは戻りたくないけど・・・・・・)。
オイッ、それはお世辞にもならんぞ小鳥遊。
「クッキー焼いてきてくれたの?」
オレはキンの発する殺意じみた気を払拭させようと会話を逸らす。
「ちょっと焦がしちゃったけど」
てへっと可愛らしい仕草で笑って、小鳥遊は鞄からクッキーの入った袋を出した。
「全然気にしなくて良いよそんなの」
いつでもキンのお守りで疲れ切って切っているから、甘いものなら大歓迎!
オレがクッキーを受け取ろうと手を伸ばした―次の瞬間、キンが小鳥遊さんの
手から、綺麗にラッピングされたクッキーの袋をひったくった。
「あっこらキン・・・・・」
オレが注意してもキンは聞く耳を持とうとせずベッドに上って、そのまま袋を掲げてこう言った。
「ゲームで勝ちとれ」
「ハッ?」
「コトリアソビのクッキーは、ゲームを勝ち取った者のみ、食べる事、許される」
ベッドの上で高らかに袋を掲げて宣言するキン。
「ちょ、なんでそんなこと・・・・・」
「サトシ、コトリアソビのクッキー、食べたいか?」
キンが問うてくる。
「・・・・・・・・」
「食べたいか?」
再び問うてくる。
「・・・・・・・・・・・食べ、たい」
なんでこんな恥ずかしいことを自分の部屋で言わにゃあならんのだ。
「あ、ありがとう」
なぜか耳まで真っ赤にして、小鳥遊は呟いた。
「あっいや、せっかく作って来てくれたんだし!」
両手を振るオレ。なんかどっかの安っぽいラブ漫画みたいな展開だな。
オレはそう思ったけど―まんざら悪くも感じなかった。
「TUBUSU・・・・・・」
おいさっき滅茶苦茶コエ~動詞聞こえて来たぞ。
最初のコメントを投稿しよう!