完熟トマトと黒縁眼鏡

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それに、釣り合わないと好奇の視線を向けてくる周囲にもあたまにくる。 「ま、愛桜(まな)ちゃん?」 「ん?」 しまった、陽平くんが嬉しそうにレポートのことを話してるから、ついつい見とれてた。 平均も平均、極々普通の成績の私と、教授からわざわざ呼び出されてレポートを褒められる陽平くんでは、あたまの作りが違う。 はっきり云って、私には陽平くんの話してる意味が半分もわからない。 でも、陽平くんの話を聞くのは大好きだ。 いつもは口べたでコミュ障気味なのに、専門の分野になると生き生きとして、ほんとに嬉しそうに話す。 そういう陽平くんはほんと可愛くて。 いつまでも愛でていたい。 「も、もしかして、退屈、だった?」 シュン、せっかくいままで楽しそうだったのに、陽平くんの背中が小さく丸まる。 膝の上で堅く握られた拳。
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