完熟トマトと黒縁眼鏡

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書店の、従業員出入り口。 誰もいないことを確認して、軽くキスしてあげたら陽平くんはまた完熟トマトになった。 開けたドアにぶつかり、閉まるまで見えた中でも、壁にぶつかってたけど、……大丈夫かなー。 って、そういうところが可愛いから、わざとキスしたんだけどね。 ――陽平くんは可愛い。 すぐずり落ちる大きな眼鏡も、ぼさぼさの髪も。 くしゃくしゃのシャツだってサイズの合ってないカーディガンだって。 笑うとぱっと花が咲くとこも。 恥ずかしくてすぐに完熟トマトになるとこも。 たまに見せる、格好いい顔だって。 まわりになんと思われようとかまわない。 陽平くんは私のとって、天使なのだから。 【終】
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