完熟トマトと黒縁眼鏡

洗ったままなのかしわしわのコットンシャツ。
羽織ってる厚手のカーディガンはサイズが合ってなくて、肩が半分ずり落ちてる。

サイズを間違って買ったんだって云ってたけど。
お店の人が話しかけてきて半ばパニックになって適当に掴み、買ってしまったんだろうってことが容易に想像できる。
というか、その場にいたかったっていうのが本音。

確かに、世間一般的にはダサくてイケてない陽平くんだけど。

私に云わせれば天使のように可愛い。
天使のように可愛いのだ。

……大事なことなので二度云いました。

もうね、構内で壁にぶつかって、本気であやまってる姿を見たときから一目惚れですよ。

しかも気がついてから真っ赤になって、まわりをきょろきょろと見渡し、何事もなかった風を装ってるんだろうけど、あきらかに挙動不審でその場を去っていく姿に胸はきゅんきゅんしっぱなし。

理想の眼鏡男子が降ってきた！とまで思った。
神様に感謝したくらい。

なのに、趣味が悪いとか云われるのは心外だし。