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アヴァは男に連れられて、洞窟の外へと向かっていく。振り返るとエフィーが悲しげな表情をしていた。アヴァは笑顔で手を振る。
「エフィー、ありがとう!」
そう言って前に向き返すが、大きな声が響いた。
「待て!」
エフィーが涙を流しながら、アヴァ達の方を睨んでいた。
「なんだ?」
「やっぱりアタシを連れて行け」
「いいのか? お前はこれが嫌でコイツを犠牲にしたんだろう?」
「アタシはその子が大切だ。妹みたいな、そんな存在なんだ。初めは裏切るために仲良くなろうとしたけど、もう裏切れない!」
走って男の手から、アヴァを引き剥がす。そして、なにが起きているのか全くわからないアヴァの方を向いた。
「ごめんね、ありがとう。アンタにはやっぱり早いよ」
「どういうこと? エフィーも、エフィーのお母様に会いたくなったの?」
「そういうことにしといて」
エフィーがうな垂れたまま男に連れて行かれる。アヴァは、なにもかもから取り残されたような気がして、ただ寂しくなるのだった。
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