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「はい、交換」
「ねえ、アヴァ。指輪の交換は、ケッコンするときにもするんだよ」
「今から交換するのは、お守りよ? でも、オッドはわたしのことが好き?」
「好きだよ。守りたいって言ってるじゃんか」
「だったら、ケッコンできる年になってもわたしのことを好きでいてくれたら、本物の指輪を交換しましょ?」
「うん。じゃあ、待っててね。僕も待ってる」
「ええ」
アヴァとオッドは指輪を交換し、互いの指にはめた。アヴァの目には、茎と茎の雑な結び目も可愛く見えた。
「そろそろ帰りましょうか。日が沈んでいくわ」
夕陽が草原を赤く塗りつぶしていく。アヴァは朝に食べた、イチゴジャムの塗られたパンを思い出した。
「そうだね。夜になったら危ないし、心配されるしね」
2人は手を繋いで高原を走り、草原を抜けていった。風になびいた長草が、2人の手首を掴もうとするように倒れたが、アヴァは全く気にしなかった。
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