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「お腹壊すって……」
私は形相が変わらないように顔の筋肉を意識しながら碧斗を睨む。
「社長、余計なことまで言わないでくださいよ」
「ホントのことだろ? 何が悪いんだよ。ハウスの苺、全部食い尽くすって言いながら食ってたしな」
「そ、そんなこと言ってなかったですよ」
「言ってた。ハウスの監視員がメチャクチャ白い目で見てたしな」
「そんなの……気のせいですよ。だいたい、そんな昔の記憶当てになりませんよ」
「気のせーじゃねえ」
「それって、私じゃなくて、私の後ろにいた社長のことを見てたんじゃないですか? 一粒も食べずに私の背中にくっついてきてた男の子」
私が眉を上げると小野田さんが口を挟んだ。
「食べずにって……どういうこと?」
「実は社長、小さい頃は果物が苦手だったんですよ」
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