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「本気になんてしませんよ」
私が小さく唇を尖らせると、私の向かいで小野田さんは真顔で言う。
「俺は本気だけど」
予想外の返答に私と碧斗が同時に彼を見つめると、一瞬妙な空気が漂った。
彼の言葉は明らかな冗談なのだが、返す笑いにわずかに戸惑った。
「副社長でもそんな冗談言われるんですね」
私が言うと、彼は真顔を崩して私のように唇を尖らせた。
「本気なんだけどなぁ」
小野田さんの意外な姿だった。
どこか拗ねたようなその仕草は年下ならではの可愛らしさとでもいうんだろうか。
今の碧斗には微塵も残っていない部分だった。
思わず目の前のデザートを見つめるように彼を見つめてしまった。
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