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腑に落ちないまま視線を落とすと、そこには先ほどからずっと私たちを待っていた苺のブリュレが佇んでいた。
私は本来の目的を思い出し、スプーンを手に取った。
「副社長、いただきますね」
私がプレートから顔を上げると、彼は碧斗との会話をやめて私を見た。
「うん、食べてみて」
細い飴細工の網をかいくぐり、クリームにスプーンを入れる。
層になっている一番下の苺ソースとクリーム、苺と飴細工をスプーンの先に少しずつ乗せると、ゆっくりと口に運んだ。
小野田さんが作ったデザートだ。
美味しくないわけがない。
「……幸せ」
口の中で合わさった甘酸っぱい形のない塊が喉の奥に流れていくのを待って口を開いた。
目が合った小野田さんは私の舌で感じた甘さと同じくらいの甘い笑顔で私を見つめていた。
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