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日付が変わる直前、
私は返事の来ない彼とは別に、碧斗のことが気になり、迷った挙句に短い文章を送信した。
お客様との会食が無事に終わったかとの問いかけに、彼は数分後に返事をくれた。
『俺の心配より自分の心配しろ。こんな時間まで起きてて明日の肌は大丈夫なのか』
思わず液晶画面の文字列を声に出して読み上げてしまった。
「人が心配してるっていうのに……。大きなお世話!」
私がスマホを放り投げるように枕の向こうへ乱暴に置くと、スマホは再びメールの着信を知らせた。
私は智からの遅い返事かと思ったが、中身は碧斗からのものだった。
『早く寝ろ』
おやすみの文字はなかった。
「おやすみ……」
私はスマホを枕元に仕舞って呟いた。
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