魅惑のデザート

27/30
431人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
翌日。 私が出勤して間もなくして碧斗が出社した。 「おはようございます」 社長室で私が碧斗を出迎えると、彼は「ん」と、は短く返事をして、手にしていた細い紙袋を私に差し出した。 「夕べ。いいワインが手に入ったからってさ」 碧斗は言い訳するように言い、私は戸惑いながら紙袋を受け取った。 「……社長がいただいたんですよね?」 私は紙袋の中身をちらりと見ると、一度手にした紙袋を碧斗の席に戻そうとした。 「メチャクチャ甘口のアイスワイン。オンナ向きだってさ」 「女性向きですか……?」 私はそこまで言って察しがついた。 碧斗が頂きものをする上で時折あることだ。 おおよそ、『彼女と一緒に飲むように』とでも言われたのだろう。 そういう時は私の役目なのだ。 「でも、これ、とても高そうですけど」 紙袋だけでいくらかの値段が付きそうだ。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!