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「……どうしてでしょうか?」
「女と飲めって言ってもらってんだぜ?」
「……そうでしたね。社長……」
私は言いかけて、この先を口にするかどうかためらった。
けれど、碧斗が無言で「何だよ?」と見つめ返すので口にせざるを得なかった。
「……一緒にワインを飲む女性、私の他にいないんですか?」
一見無表情だが碧斗のこめかみがわずかに動く。
「いないわけねーだろ」
「ですよね……」
「お前が飲みたくないなら他の女と飲むからいい」
碧斗が紙袋を乱暴につかみ、自分に引き寄せた。
「いえっ! いただきます! ぜひ飲ませてください!」
だって、きっと数万円の代物だ。
それに甘口のワインとなれば私の得意なジャンルじゃないか。
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