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細い糸のような飴細工の綿毛がココット皿を覆い、その細かい網目の隙間から苺が覗いている。
プレートに描かれた苺ソースの模様は繊細でプレートの白と苺の赤のコントラストがまさに芸術だった。
「そうそう、そういう反応。嬉しいなぁ。苺のブリュレだよ」
「もう苺のシーズンは終わったって思ってたのに……うれしいです」
「その反応、ますますうれしいな。契約農家でわざと時期をずらして作ってもらってる苺なんだよ」
「へえ……そうなんですね。これは……食べるのがもったいないですね」
すると、彼は笑った。
「そう言わずに食べて、食べて。小柳さんて、苺、好きだったでしょう?」
「……え? どうして……。私、副社長にそんなこと言ってましたか?」
「いや、残念だけど、碧斗情報」
「社長の……?」
「そう」と、彼は碧斗を横目に見た後、すぐに視線を私に戻した。
「子供の頃はいちご狩りによく行って、行くたびに食べすぎでお腹壊してたとか」
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