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「一セット売っただけでこれだぜ? 一日十セット売ったとして……」
「智。これって、やったらダメなバイトだよ」
私は彼の言葉を遮った。
それ以上は聞きたくなかった。
「大丈夫だって。これはそういうやつとは違うんだよ。先輩たちなんて毎日の売上だけでその辺のサラリーマンの月収より……」
「智! もしかして、仕事もこれのことなの? どういうことなの!?」
「何怒ってんだよ? バイトも決まって、順調にいけば仕事も決まりそうなのに」
智には私が単なるヒステリックに映っているのか、私の意図がなかなか伝わらない。
「智、それ、本気で言ってるの? そんな話があるわけないでしょ? どうしちゃったの?」
今まで仕事が長続きしなくても、智に合った仕事が見つかるまでは私も応援しようと思っていたのに、
なんだか裏切られた気分だった。
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