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碧斗は彼女がいないことを隠しているわけではないけれど、
正直にいないといったところでなかなか信じてもらえないので、
最近は堂々巡りのようなその受け答えも面倒になってしまったようだ。
だから、このワインのようなことになるのだ。
きっと碧斗は『彼女はいない』と主張しただろう。
何せ、嘘が嫌いなのだから。
けれど、相手の反応はこんな感じだろう。
『隠さなくてもいいだろう』
そんな言葉と大きな笑い声が今にも聞こえてきそうなほど、想像に難くない。
笑い声の後にはそれに負けないくらいの碧斗の大きなため息も聞こえるような気がした。
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