動き出す関係 2

18/33
463人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ
ビルに戻ると受付のカウンターには先ほどの彼女の姿はなく、千穂美ちゃん一人だった。 お昼休みの時間は過ぎているのでロビーに人気はない。 「さっきは邪魔してごめんね」 それだけ謝ろうと思い再びカウンターに顔を出すと、彼女は「いえ、大丈夫です」と首を横に振った。 その顔にはいつもの彼女の明るさがなかった。 私は気になり彼女に尋ねた。 「千穂美ちゃん……何かあったの? さっきの女性のこと? 何か困ってたら力になるけど」 「ありがとうございます」 彼女は安堵の表情を浮かべた。 「私が困ってるわけじゃないんですけど……。あ、さっきの彼女は四階にある旅行会社の社員なんですけど」 千穂美ちゃんは先ほどの彼女のことを私に紹介した。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!