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『今回は見合いと言っても、形式ばったことは何もしないし、気楽に思ってくれて結構。まずは日程を調整して日取りだけ決めたい。碧斗もスケジュールのことは君に任せてあるって言ってたから、君には厄介になるけどよろしく頼むよ』
彼はすっかり話し終えるとゆったりとした口調で満足気に締めくくった。
「……こちらこそ、よろしくお願いします」
私の挨拶で私たちは長い電話を終えた。
受話器を置いてもなお、私はぼんやりと電話機を眺めていた。
茫然としていたと言ってもいい。
彼は気楽に……と言ったが、まったくそんな気にはなれなかった。
碧斗がお見合い……
目の前にはしなければならないことが山ほどあるのでぼんやりばかりはしていられないが、何から手を付けていいのかもわからなかった。
「何、ボケっとしてんだよ」
「……社長！？ いつからそこに……いらっしゃったんですか？」
突然の声に驚き、私は思わず立ち上がった。
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