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そして、私は気付いたのだ。
あんなにも必死に智からワインを奪い返したのは
単に碧斗との約束があったからだけじゃない。
確かに碧斗は約束を破れば機嫌を損ねるだろう。
そんな碧斗を見たくない……
だけど、
本当は……
約束を守りたかったのは……私の方……
そして、何より
約束を守るという義務感よりも
碧斗と……
こんな風に笑って、一緒に飲みたかった……。
こうなることを楽しみにしていた自分がいたのだ。
「一緒に飲めて……よかった……」
私は碧斗の方を見られずに
自分のグラスを見つめて呟くように言った。
碧斗がどんな反応をしているのか気にはなったものの……
怖くて見ることができなかった。
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