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彼女が満足し、私も満腹になったところで私たちは店を後にした。
思いのほか酔っているのか二人でふらつきながら駅までの道のりを辿る。
「芹香さんといるとお姉ちゃんといるみたい」
彼女がいつもより幼い口調で言った。
「へえ、千穂美ちゃん、お姉ちゃんがいるの?」
「いえ、私は姉の立場で弟が一人。二人姉弟です。お姉ちゃんがいたらこんな感じなのかな……って思って」
彼女のことは年齢的にも妹のような感覚なので、私はそう言われて少しくすぐったかった。
「千穂美ちゃんにそう言われるとうれしいな。でも、いいな。キョウダイがいて。私、一人っ子だから羨ましい」
実際のところ、一人っ子の私にはキョウダイのいる感覚が全く分からない。
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