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「いや、後は自分でやる」
「……そうですか。では……お相手の連絡先です」
私は碧斗のデスクの上に携帯番号と名前を記したメモを置いた。
すると、碧斗がすぐさまそれを手に取り確認する。
「社長……」
思わず碧斗を呼んだが私は慌てて口を噤んだ。
この件については碧斗のプライベートなことだ。
私が口を挟める立場ではなかった。
「……では、失礼します」
私は丁寧に頭を下げて社長室を後にした。
メモを握ってもいないのに、私の手に力が入る。
そして、いつの間にか強く手を握りしめていた。
いよいよ現実味を帯びてきた碧斗の予定に、
私は落ち着かなくなっていった。
けれど、当事者である碧斗はというと、
何も変化も見られなかった。
そのことが私からさらに落ち着きを奪った。
そして、
そんな私に追い打ちをかけるように、この後、
小野田さんから連絡があった。
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