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彼の口調に合わせて静かに返事をすると、それは少し焦るように言った。
「ごめん、もう少し驚いてくれるかと思ったんだけど。もしかして迷惑だった? 嫌な思いさせた?」
「ごめんなさい。そういうことじゃなくて。もちろん、すごく驚いたんです……。驚いたから……何て言ったらいいのかわからなくて。本当に自分んのことなのかも半信半疑で……」
「……なんだ」
彼はホッとしたように小さな声をもらした。
そして、声色を明るくした。
「じゃあ、今度会った時には実感させてあげるよ」
彼はそう言ったかと思うと電話の向こうで誰か別の人物と話した。
「ごめん、忙しくなってきた。また連絡する」
そして、彼は慌てて電話を切った。
電話が終わり、パソコンのデスクトップの端で時間を確認する。
けれど、少しもお腹は空いていなかった。
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