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私は勢いよくドアを開けると社長室の脇にある秘書室に戻った。
秘書室と呼ぶにはあまりに狭いがそれがかえって使い勝手が良く、デスクや椅子もすべての備品が私自身が選んだものなので、
私にとってはこの上なく快適な部屋だった。
椅子の上にバッグをのせるとデスクから手帳やスマホなど必要最小限のものを急いで詰め込んだ。
「準備できました」
バッグの紐を肩に掛け、後ろを振り返るとすぐそこまで碧斗がやって来ていた。
「遅い」
彼は一瞥して私の前を颯爽と通り過ぎた。
慌てて彼を追って部屋を出ると、いつも通り彼の一メートル後ろに着き、彼の歩調に合わせて急ぎ足で歩いた。
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