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「本番まで通らないつもりか?」
碧斗の言葉に言葉を詰まらせる。
「お前でもそういうのに憧れるわけ?」
『当たり前ですよ』と、つい口が滑りそうになる。
「……別に、そういうわけじゃありませんけど」
「あっそ」
碧斗は素っ気なく返事をしながらもう目つきを切り替えていた。
「あそこの電球だけ少し暗くないか?」
「え? あ、はい。そうですね。取り替えるように手配します」
私は毎回記入するチェックシートにその事項を記入した。
碧斗はその間にもしゃがみこんで座席の下を覗いたり、座席の背もたれの埃を確認したりしながら奥へ進んだ。
「掃除は行き届いているようですね」
主祭壇の前で向かい合うと、
「それが出来てなかったら終わってるけどな」と言い放ち、確認もれがないか振り返って室内を見渡した。
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