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この状況でそれ以外には考えられないのに、不覚にも声にならないかすれた叫び声をあげてしまった。
おまけに碧斗の方はぶつかったというのに何の反応もない。
「社長……?」
そのことを不審に思って碧斗に恐る恐る問いかけるが彼は返事をしない。
必死に暗闇に目を慣らそうと瞬きを繰り返すが瞳はまだ馴染まない。
「社長……? 社長……ですよね?」
自分でも、こんな質問はおかしいと分かっている。
不安になる要素などないはずなのに、鼓動が激しくなってくる。
「……碧斗?」
すると、碧斗がスマホの液晶画面で自分の顔を照らした。
私は悲鳴をあげそうになる口元を手で覆った。
暗闇で青白く照らされた碧斗の顔は幽霊よりもずっと怖い。
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