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碧斗がチャペルの扉を開けると春の光が風と競争して我先にと扉の隙間から入り込む。
暗闇にいた私たちの目はその穏やかな明かりにでさえ目がくらみそうになる。
私の場合は顔を背けた拍子に足元がふらついてしまった。
すると、私が摘まんでいた碧斗の肘が勢いよく離れる。
そして、代わりに碧斗の手が私の腕を力強く掴んだ。
「言ってるそばから転ぶんじゃねーよ」
バランスを崩した私はもう一方の手で碧斗につかまり、体勢を整えた。
「まだ転んでませんでしたよ」
私が言うと、碧斗は無言で私を睨みつけた。
「でも……ありがとうございました」
私は俯いて碧斗の腕から手を離した。
「行くぞ」
碧斗の歩調が早まったので私も小走りに彼との距離を縮めた。
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