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山あいの小さな村にある家族が住んでいました。
お母さんと姉のカナエ、弟のソラの三人で暮らしていたその家族はカナエが川へ釣りに、
ソラが山へ山菜取りと薪取りに、
お母さんは家で家事と家畜の面倒を見ながら静かに暮らしていました。
少し肌寒くなってきた秋ごろ。
お母さんが風邪をひいて寝込んでしまいました。
病床で苦しそうな顔をしながらお母さんは子供二人に言います。
「子供たち、私は風邪をひいてしばらく働けないわ。二人で協力して家畜の面倒を見てちょうだい。」
やることはたくさんあります。
餌をあげたり小屋を掃除したり牛乳や羊乳をとったり……。
そして夜にはオオカミが襲ってこないように電気柵の電源を入れなければいけません。
それら仕事を二人は協力してやらなければならないのですが……。
「私牛乳とるからソラは動物を洗いなさい。」
「そんなの言われなくてもわかってるよ。いちいちうるさいな。」
「まったく何なのその態度。」
二人は仲が悪いのです。
口を開けば言い争い。目を合わせればにらみ合い。こんな二人が協力なんてできません。
案の定、顔を背けてそれぞれの仕事を始めました。
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