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カナエが呆然としていると何も知らないソラがのこのこやってきました。
「姉ちゃん、あの小屋古すぎるよ。
ちょっと押しただけですごい揺れるんだもん。
買い換えない?
そのせいで馬が暴れたみたいだし。ってどうしたの?」
カナエはソラの話を最初は聞き流していたものの次第に気が付きました。
親の仇かというほどにソラを睨んで言います。
「つまりあんたが馬を暴れさせて牛を走らせて電源を壊したのね。」
ソラはカナエの剣幕に押されながらおずおずとうなずきますが聞き返します。
「え?電源が壊れたって何のこと?」
「電気柵の電源よ!
あんたが小屋を揺らしたせいで馬が暴れてその牛にぶつかって電源装置が壊れたの!
ったく牛乳もかかっちゃったし。」
ソラも徐々に事の次第が分かってきました。
どうやら自分のしたことが一大事になってしまったようです。
一瞬謝らないといけないと思いましたが嫌いな姉を前に出た言葉は謝罪の言葉ではありません。
「そんなの姉ちゃんがそこで牛を止めないのが悪いじゃねえか。
たしかに馬が暴れたのは俺のせいかもしれないけど牛のことなんて知らないね。
それに別に俺はこんなことしようと思ったわけじゃないし。」
売り言葉に買い言葉でカナエもむきになりますがずっとケンカをしていては進まないと思いました。
「あんたが何をしようと思ったかなんてどうでもいいわ。
もう、いい。
そんなことよりこのままじゃ夜にオオカミが襲ってきて家畜が食べられちゃう。
それまでに対策を考えないと……」
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