第4章 揺れる気持ち

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いやいや、問題はそこじゃなくて いきなり名前で呼ばれて、呼び捨てでいいとか どんだけフレンドリーなの? 純くんに似てるし栗原くんにしか、見た目は見えないから言われて嬉しい部分はあるけど、でも私は… 神埼陸斗としての貴方が苦手かも。 「あの名刺届けていただいて助かりました。これから仕事に戻らなきゃならないので、これで失礼します」 私は頭を下げて、お礼を言った後 立ち上がった。 「あ、もう1つ質問いい?」 そして立ち上がった瞬間、神埼くんが軽快に聞いてきた。 「あの、時間がないので手短になら…」 腕時計を見ると、とっくに10分は経過している 本当に早く戻らないとヤバイんだけど 「これだけ聞いたら帰るから。あのさ、この前の握手会の時に俺を栗原くんって間違えたろ?その栗原くん。って、知り合いの人?」 あ…この前の事…… 知り合いとか神埼くんには、関係ないんだけどな… まあ、早く帰ってほしいし 「知り合いだよ」 まあ、間違ってはないよね。 実際、知り合ったわけだし 「へぇ。ソイツと俺、そんなに似てる?間違えるくらいに」 意味深に口角を上げニヤリと笑みを見せる。 「そりゃあ…間違えたくらいだから。あの…もう本当に急いで戻らないといけないので!あの名刺ありがとうございました!では」 また、お辞儀をしてクルリと背中を向き戻ろうとした時だった 突然、神埼くんが私の腕を掴んで強引に引っ張る。 「ちょっと、何するの?」 神埼くんの方に向き返された私に右手を差し出す 「握手、まだだったでしょ?はい。今、してあげる」 はぁ?してあげる? 上から目線ですか 時間ないって言ってるのに! そんな握手なんて 「もう、結構です!本当に時間がないので、これで失礼します!」 私はフンッと神埼くんに背を向けると早足で仕事に戻っていった。 神埼くんは、その後どうしたかは知らないけど、あんな上から目線、すごい腹立つんですけど!
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