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「タクが、タクが目を覚ましたんだ!」
「ほ、本当ですか?」
「あぁ。俺、行ってくるわ」
その言葉と同時に神崎は駆け出した。途中で振り返って手を上げる彼の顔は、本当にうれしそうだった。結も笑顔で、神崎を見送った。
一人残された結だったが、心はあったかい気持ちでいっぱいだった。本当に良かったと心からそう思う。結はカバンを手に取ると、出口へと向かった。これから行くのは、もちろんシキの事務所。佐々木が目覚めたことを伝えに行かなくてはならない。
本当に今回は胸が痛む事件だった。でも、もう心配はしていない。佐々木には、神崎という素敵な親友がそばについているのだから。
結は、軽やかな足取りで病院を後にした。事件解決と佐々木の快復のお祝いに、シキに甘いものでもおごってもらおう。結の歩調は自然とスキップになり、ウキウキ気分でシキの事務所を目指したのだった。
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