第二話 骨まで愛して

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 寂しげな表情を浮かべるシキに、結も同じような表情になってしまう。知りたくない現実を突きつけられたかのような気分だった。それでも、シキの言葉は正しい。  命は、命の重さは決して平等ではない。主観に客観そして考えや想い、感情に必ず左右されるもののはずだ。さらには命と比較する物によっても変わってくるはず。  もし命の重さを単位で問われたとき、人はそんなものでは例えられない、それぐらい重いものだときっと答えるだろう(世間体も考えると、これがベストな答えだろう)でも、心の中ではどうだろうか。家族、恋人、自分そして他人。必ず差があるはずだし、無いはずは無いのだ。それでも平等だという者には、大切な人がいないのかと問いたくなる。そう、命は平等ではない……  今回は、幸子の命よりも風間にとって自分の未来の方が大事だった。ただそれだけのこと、それだけのことなのだ。
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