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しかし、舌打ちをしたキッチンの美女は機嫌よさそうにコース料理の準備に入る。
せっかく用意した、自信にあふれたコースだ。
料理人としてオーダーが通ることは嬉しいことなのだろう。
俺は嬉しそうに調理をする美麗さんを横目で見ながら、俺は次々出される料理を提供した。
前菜、サラダ、スープ、パン、魚料理にソルベ……
お1人様美女はどれも美味しそうに食べていたのだが、次の料理――肉料理の厚切りローストビーフを食べた時、美女から信じられない言葉が飛び出した。
「あの……これの作り方、教えてもらえませんか?」
真っ直ぐとした目を俺にむけている様子からして、冗談だとは思えなかった。
しかし、料理で勝負している料理屋で作り方を聞くなんて正気ではない。
「俺は作ってないからわからないんですよ」
と言いながら、キッチンで他のお客さんの料理を作っている美麗さんに目で合図を送る。
“無理言われてるんですけど、助けてください”
しかし美麗さんは俺とお客さんを一瞥してから無言で料理を作り続けた。
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