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「どんな子かなって思ってたんだけど、こんなに可愛らしい子だとは思わなかったよ」
「か、かわ……!?」
さらりと褒められた。
慣れない言葉をかけられて落ち着かない。
……あぁ。こうやって何人もの女子を陥落させてきたのね。
赤くなってぶんぶん首を振っている私とそれを笑って見ている周防さん。
蒼司がその間に割り込んで言った。
「……立ち話もなんだ。中に入らないか?」
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校舎内を案内しつつ、生徒会室に向かうことにした。
周防さんは物珍しいのか、校舎のあちこちをきょろきょろと見て、時折私や蒼司に質問する。
「うちの学校とは結構違うところがあるね」
そうだろうか。
普通の学校だと思うんだけど……。
「飛鳥学園ってどんな感じですか?」
私は飛鳥学園を実際に見たことが無い。
そんなに普通と違うのだろうか。興味が出てきた。
周防さんはそうだなぁ、とつぶやくとさらりと言った。
「まず……エレベーターがあるね。12階建てだから」
「ビル!?」
「あと地下にプールと屋上に温室もあるかな」
「ホテル!?」
どんな学校よ……。
次々と出てくる最新設備や制度。
聞きなれないものばかりで私の脳は処理限界を迎えそうだ。
駄目だ。
私の生きている世界と違いすぎる。
先を歩いていた蒼司に向かって、周防さんが声をかけた。
「吉野君は来たことがあったよね。去年の年末ごろだったかな」
「ああ……そうだったな」
へぇ。そうだったんだ。
何の用だったんだろう。
私が不思議に思っていると、二人は並んで何やら話をしている。
「あの話は、考えてくれたかな?」
あの話?
……ってナニ?
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