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もう一年かぁ。
早いもので、私が代議部――レジスタンスのリーダーになって一年が経った。
季節は春。新学期。
校門をくぐり、生徒達が群がる掲示板の前へと向かう。
私も無事進級し三年生になった。
最後のクラス替え……穏やかに済めばいいけど。
人をかき分けながら一組から順にクラスを見ていく。
……あ、あった。二組。
隣には一年のときからの友人の名前もある。
早速友人にLIMEで知らせるとすぐに返事がきた。
『もう教室にいる。それよりあんた、ちゃんと最後まで名簿見た?』
え?最後に何かあるの?
言われた通り上から下までじーっと視線を移し、私はその場でフリーズした。
吉野蒼司。
……なぜコイツと一緒のクラスに!
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三年二組の教室は緊迫感に包まれていた。
……すみません。原因は私です。
正確には私とその隣に座る男が原因だ。
「先生何考えてんの!?」
「レジスタンスと生徒会長が隣同士とか……!」
「ほら、『や』と『よ』で名字が近いから……!」
教室が静かなせいで、嫌でもそんな囁きが私の元まで聞こえてくる。
私はうつむき、それに耐えるしかなかった。
隣に座る吉野蒼司は表情一つ変えない。
……ムカつくくらい普通だ!
柏原第三高校生徒会長、吉野蒼司。
頭脳明晰、容姿端麗、文武両道。
おまけに名の知れたお家の出身。
絵に描いたような完璧人間。
そして、私の宿敵。
私と彼の仲の悪さはこの学校で知らない人はいないってくらいに有名だった。
さっきからお互いに挨拶も無しに黙り込んだまま。
そんな私達の間にはある秘密があった。
許嫁同士であること。
そして、色々とあって恋人のフリをしているということ。
さらに厄介な事に、学校でばれないようにするというオプション付だ。
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