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「――お前のコト」
一瞬足を止めて、射抜くように俺を見つめて、祐志が言う。
その瞬間。時間も呼吸も止まって、さっきのなんか足元にも及ばない程、顔が熱を発した。
「お前は、何話してたの?」
再び歩き出した祐志は、のんびりと訊いてくる。
「……姉貴の、こと、だけど」
まだドキドキして、上手く答えられない。そんな事も知らずに「ふーん」と返してきた祐志は、俺を見て微笑んだ。
「似た者姉弟じゃん」
「……嬉しくねぇー」
空を仰いで嘆息する。
しかし見上げた夜空は、思った以上に星が瞬いていた。
「……うわっ、きれー……」
俺の呟きに、祐志も顔を上げて微笑む。
俺達は夜空を見上げながら、2人でゆっくりと進んだ。
――結局。その後は花火に間に合わなくて、急ぎ足で神社を歩かなきゃならない破目に陥るんだけど。
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