夜ぞふけにける

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 一生忘れないなー、と呟く潤一さんに、前々から思っていた疑問を口にする。 「潤一さんって、姉貴のどこがいいんですか?」  驚きを滲ませた瞳を向けられ、一瞬固まってしまう。長い間見つめられ、妙に照れくさくなってきた頃、ようやく潤一さんは「どこだろう?」と首を傾げた。 「えっ? 解んないんですか?」 「んー。でも多分あれだな。――あいつ、最初に会った時、場所は大学の食堂だったんだけどね。女友達の喧嘩の仲裁してたんだよ」 「えっ、仲裁ですか?」  喧嘩してた当事者じゃなくて?  俺の心の中を読み取ったらしい潤一さんは、クスリと笑って「そう、止めてた側」と付け足した。 「結構大きな声で揉めてたな。周りの注目の的にもなってたし。俺はずっと話を聞いていた訳じゃなかったんだけど、なんか周りがまたざわめき出して。どうしたのかなって見ると、あいつが庇ってた筈の女の子が泣き出してて。それも沙耶花に突っ掛かっていってたんだ」 「……あー、どうせその人傷つけるような言葉を発したんでしょ。無意識に」 「だろうね。でもその時、1番驚いていたのが沙耶花だったな」
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