夜ぞふけにける

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「当然だね。自分では気付いてないんだから」  我が姉ながら、呆れて言葉も出ない。 「あいつ、それでもオロオロも動揺も見せないで、1人堂々としてたんだ。文句言ってくる彼女を黙って見返して、真っ直ぐにシャンと立ってた」  ――人を傷付けといて、どうなんだ、それって。 「俺、その時『この子カッコいいな』って思ったんだ」 「へ? なんで?」  思わずタメ口になってしまう。しかし潤一さんは、そんな事気にもせずに話を続けた。 「だって、俺だったら動揺しちゃうよ。庇ってた子から非難されて、周りからは冷たい目で見られて。自分が1 番悪いみたいにさ」 「で、結局どうなったんですか?」 「結局、沙耶花はその子の言葉を最後まで聞いて、一言『わかった』って言って食堂から出て行ったんだ」 「え? 言い返さなかったんですか?」 「うん」  信じらんねぇ。  前を歩く姉貴を見ると、祐志と何やら楽しげに話している。こっちの会話は、全然聞こえていないみたいだ。  姉貴はいつでも自信満々だ。自分の言う事に間違いなんて、絶対ないと思っている。
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