第11話 日常の果てに生まれる非日常

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げに恐ろしきかな、人間の習性は。 ともあれ、何とか事態を打開出来る策はないものか・・・あれやこれやと思考を巡らせていた光流はあることを思い出す。 そうして、光流はそれを華恵ーーいや、華恵の姿をした何かに気取られない様、敢えて前を向いて彼女を見据えたまま、背後の楓に声をかける。 「・・・なぁ、楓?お前、今玲さんの名刺持ってっか?」 その言葉に、楓ははっと表情を変えると小さく頷いた。 ちなみに、残念ながら光流が貰った名刺は教室の椅子にかけてあるブレザーのポケットに入ったままだ。 だからこそ、楓がそれを持っている可能性に賭けた訳だが。 しかし、それにしても、いつの間にこんなに密着していたのだろう。 楓の頷いた瞬間の頭の感触が、彼女がぎゅっと掴んだ腕越しに伝わってくる。 痛い位に強く掴まれた光流の右腕。 恐らく、その握る力の強さに、制服の下の肌は赤くなっていることだろう。 しかし、今の光流にとってはその痛みと温もりこそが却って有り難く、心強い。 何故なら、彼女の温もりを感じることで、光流は 『自分は一人じゃない。自分の後ろには大切な家族がーー護らなければならない者がいる』 そう、思うことが出来るのだ。 そして、その気持ちが、今にも震えて足から崩れ落ちそうな光流自身を強くし、支えてくれているのである。 「・・・スマホ、あるか?」 光流のその言葉に、楓は再度小さく、しかし力強く頷く。 それに、光流も頷いて返す。 すると、光流の意図を汲んだ楓は、華恵の視界から逃れる様に、そっと・・・怯えて隠れる様な素振りを見せながら、光流の真後ろ、その背中へと姿を隠す。 そこで、楓は制服の胸ポケットからスマホと名刺を取り出すと、ナンバーキーをタップし始めた。 ちなみに、楓のスマホは一切操作音はしない。 実は、楓の携帯は、授業中に教師達にバレずに触れる様、既にサイレントになっていたのだ。 そんな、スマホ操作はお手の物の楓のことである。 恐らくはあと少しで玲に繋がるだろう。 そうすれば、きっと如何にかーーーー
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