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サマになるなあ。
「伊達に作家共から鉄面皮なんて呼ばれてないんだよ」
「ほげ?
表情が読めないから鉄面皮なんじゃないの?」
バーでの表の呼び名はタモツ。
裏では鉄面皮。
無表情にとんでもないこと要求してくるドエロ王子、って言ってたっけ。
「それもあるけど。俺は手段を選ばねえからな」
ふうん。ていうかさあ。
「タモツって何屋さんなの?ジャーナリスト?カメラマン?ではないか」
やることえげつない。
「編集者だよ、普通の。まあご希望があれば体も提供するけど」
「誰に?」
「女流作家やアーティストとか?」
「枕かあ」
また懐を探って、はたと止める。
「仕事だ」
「体張ってるねえ。ゲイじゃなかったっけ?」
「………お前の出入りしてる店はどういうとこだったかねえ」
それ言われるとなあ。
あーうまかった、カレー。
コーヒーも美味い。
ミルク追加欲しいな。
だけど。
何かいいタイミング。
あの店に出入りし始めて半年。
色んな人と出会ったけど。
ずっと聞けずにいたこと。
誰かに聞きたかったこと、今ならタモツに聞けるかな。
「なあタモツ。ヤッパリ俺の仕事にマクラって必要かな?」
コーヒーカップから目だけあげる仕種。ちょっと怖い。
「言われてんのか?」
うーん。
「今は、マネージャーが押さえてくれてる。俺がまだ子供だからって。
事務所の社長はさせたいみたい。
あの店に通ってることはマネージャー知らないし」
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