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「お前、まだ経験無いだろ。あー女はあるのか」
う。
「無い」
「どっちも無いのか」
今までこれと言って必要ないことだったから。
特に性欲も無いし。
「今時の若者だねえ。俺なんか野生であふれ返ってたわ、お前くらいの時」
「毎日寝技決めてたからじゃないの?」
よく一緒に来るマコトとタモツは柔道の有段者だって聞いてる。
「言うねえ」
眼鏡越しにキラリと光る瞳。
一瞬。心臓をわしづかみにされたかと思った。
何?今の。気迫?
これ、一般人の殺気とかと全然違う。
仕留めに行く、みたいな。
捕食者の目。
不意にタモツが眼鏡を外す。
ぐわっ。
ディズニーの王子というより美術室にあった白い像がピッタリ。その顔がニヤリと笑う。
イメージは………
「まあ、女相手なら楽しいかもな、普通は」
あんたは?
聞こうと思っても怖くて聞けない。
何だか地雷踏みそうだ。
「女抱けよ。そしたら答も出るんじゃないか?」
「相手居ないし」
「お前が知らんぷりしてっからだよ。今からでもナンパに行けば?直ぐだぞ、その顔とタッパなら」
俺は仕事、と立ち上がり際伝票をかっさらっていく。
決まってるなあ。
勉強になる。
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