40人が本棚に入れています
本棚に追加
帰ろっと。
「マスター、タクシー呼んで」
タモツが振り返って俺を見る。
ナンパは?って言ってる気がする。
何だよ。
今日はまっすぐ帰る。アパートに。
流石に撮影で疲れたし、今とんでもないストーカー話されたし。
あ、カードホルダー。
「俺が預かっとく。道具も。何かあったら言え」
オーライ。
手を挙げると。
「お前ってさ」
んだよ。
「キリンみたいだな」
何だよ、それ。
「俺がキリンなら、タモツはヒョウだな」
「は?」
「ほら、仕事でしょ。さっさと獲物仕留めて来なよ」
ササッと手を振って、店から出てくのを見送った後は。
「マスター、タクシー来るまでの間にカフェオレ飲みたい」
「あいよ」
ここのコーヒー美味い。
「あんた、彼をお手本にしてるのかい?」
マスターの手、綺麗だな。
「どっちかってと、自分がいいなと思ったら誰でも真似しますね」
フウンと呟き
「生まれたての雛鳥は初めて見たヤツを母親って思うんだよな。心理学用語でインプリンティングってんだ。いわゆる刷り込み」
ほう。
あ、すみませんね、
やっぱウマ。
「人間の赤ちゃんもおんなじで、親の後追っていろんな事覚えてくんだよな」
俺、赤ちゃん?
最初のコメントを投稿しよう!