未成年NG

17/23
前へ
/23ページ
次へ
ホテル出る前に事務所に電話したら、社長にもう今日は帰っていいって言われた。 ホテル出て、タクシーに乗り込んで。 やっぱ事務所行こうかな。 社長、逆に俺仕事したいです。 なんか、真っ白になりたい。 左手首に、目をやるともう10時。 「専属モデルなんだからいつでもつけてなさい」 ってくれた新しいブランドの時計。 若者向けだけど、すっげーダークなデザインで、結構いい。大事に10年位使うと、いい具合に傷なんかもついて、却ってぐっと来る、みたいな。 10年すると俺も三十代。 その頃にはタモツみたいになれるのかな。 何もかも達観した、鉄面皮に。 無性にタモツに会いたい。 バーに、行こう。 きっと今日も来る。 もうハタチだもん。 堂々と入れるし。 ああ、そうだ。 今日俺、誕生日。 一人っきりなんて。 寂しい。 「この住所まで」 店の名刺を見せると静かに走り出すタクシー。 ドアを開けると。 いた。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

40人が本棚に入れています
本棚に追加