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「瞬くーん、こっち向いてー」
「今度あっち、あーそれ違う、目線あっち」
「瞬、笑え。そうじゃなくて」
無理。
体、バキバキになってきた。
10時間もこんなことやってる。
スポットの光で頭痛してきた。もう限界。
シャッター切ってるお姉さんとお兄さん、もう許して。
「あーそれいい。そのけだるい感じ。よしもう少し行くか」
行けません………
「良く頑張ったねー、はい」
ポンコさん有難う。
お茶好き。
撮影スタジオの端っこで、よいしょ。
こっくん
うっめー。
今日俺水分ちゃんと取ったかな。
「撮影はいい感じだった。後、もうちょっと周りの人に対して愛想が欲しい」
しゃがんだポンコさんが俺を見上げてる。
やってるよ。
頑張ってるよ。
「まあ、まだ19だしねえ。」
「もうハタチだもん」
アハハそうねえ、と笑うポンコさんは綺麗だ。
無造作に纏め上げたうなじが白い。
「でもプロになった以上はしっかりやってもらわないと」
プロねえ。
「もはや読者モデルじゃ無いんだから。大丈夫、私がついてる」
ポンポンとポンコさんが肩を叩く。
うん、頼りにしてるよ、マネージャー。
「可愛いわねえ、シュン」
ウゲ。誰このおばさん。
口元が怖い。
真っ赤で食われそう。
胸でかいけど。
足細いけど。
青のスーツ決まってるけど。
「水野社長」
ポンコさんが慌てて立ち上がる。
社長?
何処の?
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