未成年NG

8/23
前へ
/23ページ
次へ
この人ホント喫茶店好きだな。 スタバとかさ星乃とかさ、軽く入れるところじゃなくて昔ながらの、薄暗い喫茶店。 壁からもコーヒー豆の臭いして来るみたいなさ。 「いらっしゃいませ」 低いしわがれ声のじいちゃんがマスターか。 目何処にアンの? 縁なしキャップが如何にもだな。 道路に面して小さなステンドグラスの窓が並んでる。 綺麗だな。 車のヘッドライトがたまに光を送ってくると、室内に虹が走る。 タモツは奥、か。 「よ」 何食ってんだよ、カレー? 朝はモーニングでトーストゆで卵コーヒー。 夜はカレー。 「昼何食ったの?」 「コンビニ弁当かな」 良くその体維持できるなあ。 「お前こそ何食ったの?」 「昼は、出前のうどんとおにぎり。夜はまだ」 「じゃ、カレーだな、マスター同じの」 じいちゃんがほいよって返す。 何だか昭和のカホリ。 「もっと賑やかな場所あるでしょに」 「で、話盗み聞かれてネットに広まるって?今の世の中怖いんだよ、小僧」 スプーンをナメあげる仕種いいなあ。 俺もやって見よ。 「で、昨日のさ。話聞かせてよ」 「……あの変態。お前が店入るまで、ずっとつけてたぞ。それもこの三日立てつづけ。 何で気付かないんだか」 しらねー。そーなの? 「ストーカーって奴?」 「お前もお前だ。 酒も飲めねえ奴が出入りすんなよ、未成年。しかも毎日」 「毎日って……それ言うならタモツもじゃん。 それに、ざーんねん。俺、明日でハタチ。」 「成人したから酔っ払わない訳じゃねえぞ」 タモツが右手を懐に伸ばしかけて、そのまま水の入ったグラスを掴む。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

40人が本棚に入れています
本棚に追加