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この人ホント喫茶店好きだな。
スタバとかさ星乃とかさ、軽く入れるところじゃなくて昔ながらの、薄暗い喫茶店。
壁からもコーヒー豆の臭いして来るみたいなさ。
「いらっしゃいませ」
低いしわがれ声のじいちゃんがマスターか。
目何処にアンの?
縁なしキャップが如何にもだな。
道路に面して小さなステンドグラスの窓が並んでる。
綺麗だな。
車のヘッドライトがたまに光を送ってくると、室内に虹が走る。
タモツは奥、か。
「よ」
何食ってんだよ、カレー?
朝はモーニングでトーストゆで卵コーヒー。
夜はカレー。
「昼何食ったの?」
「コンビニ弁当かな」
良くその体維持できるなあ。
「お前こそ何食ったの?」
「昼は、出前のうどんとおにぎり。夜はまだ」
「じゃ、カレーだな、マスター同じの」
じいちゃんがほいよって返す。
何だか昭和のカホリ。
「もっと賑やかな場所あるでしょに」
「で、話盗み聞かれてネットに広まるって?今の世の中怖いんだよ、小僧」
スプーンをナメあげる仕種いいなあ。
俺もやって見よ。
「で、昨日のさ。話聞かせてよ」
「……あの変態。お前が店入るまで、ずっとつけてたぞ。それもこの三日立てつづけ。
何で気付かないんだか」
しらねー。そーなの?
「ストーカーって奴?」
「お前もお前だ。
酒も飲めねえ奴が出入りすんなよ、未成年。しかも毎日」
「毎日って……それ言うならタモツもじゃん。
それに、ざーんねん。俺、明日でハタチ。」
「成人したから酔っ払わない訳じゃねえぞ」
タモツが右手を懐に伸ばしかけて、そのまま水の入ったグラスを掴む。
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