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「私達は白組か……よし、山田」
「お呼びでしょうか、佐藤リーダー」
「お前の分析を得意とする力で、白組を勝利に導くのだ」
「お任せ下さい。我が頭脳、存分に発揮しましょう」
山田は人差し指でメガネをクイッとして、冷静に玉入れの場へと向かう。
そして、豪快なピストルの音と共に、玉入れがスタートした。
「ふむ。玉の重さは80g。カゴの高さは約3m。つまり、角度を計算すると……ここだ!」
山田のメガネがキラリと光る。
投げられた玉はカゴの中に吸い込まれていった。
「Groovy!」
完璧な結果に口元を緩ませ、次の玉を拾う。
「ふっ……続けて行くぞ……なっ!? こ、この玉は……85gはあるぞ」
冷静な分析と計算が裏目に出た。
「くっ……もう一度、角度から計算を……」
木の棒を拾って地面に計算式を書いていると、終了を告げるピストルの音が鳴り響く。
「ばっ、馬鹿な!?」
気が付くと、同じ白組の同僚に囲まれていた。
「お前、何をブツブツ言っていたんだ? 玉も一個しか投げてないだろ?」
「ぐはっ」
その場に倒れ込む山田。チーム・メガネが駆け寄る。
「申し訳御座いません……佐藤リーダー……」
「いや、お前は頑張ったよ」
山田は満足そうな笑みを浮かべ、視線を横へとずらした。
「後は任せたぞ……鈴木……」
「任せておけ。俺達は頭脳だけじゃないところを見せてやるさ」
メガネに涙は似合わない。
山田の魂のバトンを受け取った鈴木は、涙を堪えて次なる種目への闘志を燃やした。
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