風を感じて

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彼らは驚いて両側に避けたが、最後尾を 歩いていた賢一は何が起こったのか把握 できず、一瞬遅れた。そこに正面から白い 道着が飛び込んで来た。胃の辺りに 頭突きを食らって彼は思わず咳き込んだ。 「…ってえ。」 飛び込んできたほうも賢一の学生服の釦に 当たったらしく、額を手で押さえていた。 が、次の瞬間、 「申し訳御座居ません。」 と女の声がした。身体をほぼ真二つに折り 畳んだ、真新しい道着に身を包んだ一年生。 心なしか震えているように見えた。 「大丈夫だ。行け。今度から気をつけろ。」
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