24人が本棚に入れています
本棚に追加
彼らは驚いて両側に避けたが、最後尾を
歩いていた賢一は何が起こったのか把握
できず、一瞬遅れた。そこに正面から白い
道着が飛び込んで来た。胃の辺りに
頭突きを食らって彼は思わず咳き込んだ。
「…ってえ。」
飛び込んできたほうも賢一の学生服の釦に
当たったらしく、額を手で押さえていた。
が、次の瞬間、
「申し訳御座居ません。」
と女の声がした。身体をほぼ真二つに折り
畳んだ、真新しい道着に身を包んだ一年生。
心なしか震えているように見えた。
「大丈夫だ。行け。今度から気をつけろ。」
最初のコメントを投稿しよう!